ギャラリーにて「中谷守一写真展~印象・旅の風景より~」を開催中です。毎年2月に開かれるこの写真展を見に多くの方がWAZGUを訪れます。中谷さんの写真を見るのはもちろんですが、写真にまつわる旅のエピソードを直接聞けるのも、この写真展の楽しみです。
今回は、ギャラリーで展示されている写真に中谷さんのコメントを添えて、中谷さんのお話を聞いているつもりで何点かの作品をご覧いただきましょう。
―今回の写真展で展示されている新作の写真はどこで撮影されたのですか?
中谷 「今回の旅は、昨年夏にベネルクス、ルクセンブルクからバルカン半島のアルバニア、コソボなどを経て、イタリア、ギリシャを巡ったのと、今年初めに行ったミャンマーです」
―今回の展示は水辺の風景を写し取った作品が目立ちます。こうした作品では、水面や空の色の変化や、全体の構図が日本画を思わせます。
中谷 「このミャンマーのマンダレーの写真は完全に絵の構図ですね。もともと絵を描くためのスケッチの代わりに写真を始めたので、風景を撮るときはいつもスケッチをする感覚なんです」
―次の写真もどこまでも広がる川と空のグラデーションが印象的です。このように空気の中に湿気を含んだような風景はやはり雨の多い東南アジアならではですか?
中谷 「実はこの写真を撮ったとき現地は乾季でした。雨季と乾季では風景が一変するんですが、こんな広がりがある写真が撮れるのはイラワジ川のような大河のほとりだからですね。
―この写真はものすごい数の塔がツンツン立っていてすごい景色ですね。
中谷 「これはミャンマーのシャン州のカックーというところにある仏塔群で、功徳を積むために寄進されたもので、一つの家ごとに一つの仏塔があり、古いものは300年くらい前に建てられたそうです。一緒に写っている人を見ればわかるように、実はそれほど大きいものではなく、中に人が入れるように入口が付いています」
―次の写真はどこで撮られたのですか?
中谷 「マケドニアのオフリド湖というところです。マケドニアの南部にある保養地で、ヨーロッパでは格安で過ごせるリゾートの穴場として知られています。独特のひなびた雰囲気の場所でした。この湖はとても透明度が高く、青い空と遠くの山並みに溶け込むような広がりが印象的でした」
―この写真はギリシャですね。
中谷 「ギリシャのコルフというところにある水上教会です。中央の糸杉のある白い建物が教会で、右側の木が茂っている島が修道院です。修道院には協会から出ている船に乗って行きます」
―中谷さんの写真は、ギリシャの青い海のような鮮やかな色でも柔らかく落ち着いた色調にプリントされていますね。
中谷 「それを一番の売りにしています。テカらないようにマット紙に顔料系の12色のインクで印刷しています。色をチェックできるように自分でプロッターで印刷しています」
写真の素晴らしさはもちろんですが、自分で撮影、印刷、販売する中谷さんのスタイルの利点は、お客さんの希望に合わせて好みの写真を探し出すのをお手伝いしたり(ポストカードが何千枚もあってとても一度には見られません)、気に入った写真を好みの大きさにプリントして送ってくれるなど、きめ細かなサービスにあると思います。
それに何よりも、写真にまつわる旅のエピソードを直接聞けるのが写真展の楽しみです。
「中谷守一写真展~印象・旅の風景より~」は、3月2日(日)まで開催しています。
10:00-18:00 会期中無休(最終日のみ15:00)