中谷さんの写真の持つ魅力は、撮影者の目を通して世界各地のさまざまな地方や街を旅しているような体験ができるところにあると思います。旅した土地の思い出を持ち返るように、写真の中に切り取られた街や風景を手元に置きたくて、中谷さんのポストカードを集めている方も多いのではないでしょうか。
今回もギャラリーで展示中の作品の中から印象的な風景や街の写真を選んでご覧いただきましょう。
―これはどこの街ですか?
中谷 「ギリシャのコルフ島です。ここはギリシャといってもイタリア寄りで、アドリア海のベネチア文化の影響が強いところです。ギリシャでは白い壁の建物が多いのですが、ここでは色とりどりの建物と、ベネチア風の教会の塔がある街並みがユニークです」
―中谷さんはネコの写真も多く撮られていますね。
中谷 「ネコの凛としたたたずまいが好きなんです。ネコだけではなく、周囲の風景や街並みの中にネコを配した写真を撮るように心がけています。この写真はマケドニアのリゾート地で早朝に撮ったものですが、なかなか美人のネコで気に入っています」
―これはどこの写真ですか?
中谷 「これはコソヴォです。コソヴォのイスラム教徒の多いところにはこれと似た橋がいくつもあります。この街は紛争の被害がほとんどなかったところで、今では観光地になっています。ドームと尖塔があるのがモスクで、その奥には教会もあります。
―この写真は最近行かれたミャンマーですね。中谷さんはかなりの数の国に行かれていますが、東南アジアへはわりと最近行かれるようになったのですか?
中谷 「アジアに行くようになったのは6、7年前からです。この写真はミャンマーの有名な寺院があるパガン山で撮ったものです。東南アジアは湿気を含んだ独特の色彩と空気感があり、ヨーロッパとはまた違う写真が撮れます」
―次の写真は中谷さんのお気に入りだそうですね。
中谷 「これは万人向けではないけれど、わかる人にはわかる玄人向けの写真かな。これを撮ったのは南イタリアのロコロトンドというところで、トゥルーロという、石積みのとんがり屋根が特徴の建物が多くあるので有名なところです。奥のトゥルーロはよく見ないと気が付かないのですが、手前からのびる小道や石垣、周囲の木々につつまれて、トゥルーロだけが前面に出ず、周囲の環境に調和しているところが気に入っています。
中谷さんのホームページには、写真付きの旅日記のコーナーがあります。すばらしい写真が盛りだくさんの楽しい内容ですのでぜひともご覧ください。
ホームページには各地のマーケットや手づくり市での中谷さんの出展予定も掲載されています。
「中谷守一写真展~印象・旅の風景より~」は、3月2日(日)まで
10:00-18:00 会期中無休(最終日のみ15:00)