WAZAGUギャラリーにてミーヴ染工房 引染の手仕事展「綿・絹・麻」を開催中です。引染(ひきぞめ)は手描き友禅の技法の一つで、独特のグラデーションの表現が特徴です。水平に張った布に刷毛を使って染めていきます。
京都・壬生にて引染一筋で百年以上の歴史を持つ染工場を営む伝統工芸士の隄信雄さんは、親しみやすく暮らしの中で使える製品に引染を生かそうと、絹だけではなく綿や麻も引染で染める技法を開発し、バッグやポーチ、がま口などさまざまな小物やバッグなどの身近な布製品を作られています。
今回は隄さんが今年から始められた「出張実演コーナー」がWAZAGUにも登場しました。生地を水平に引っ張って染めるという技法はとても珍しく、説明のため実演して欲しいという声が多かったそうです。しかし十数メートルもある着物の生地を染める工房での工程を再現するために知恵を絞り、折り畳み式の作業台と生地を張る竹から成るセットが誕生しました。
東京や名古屋でのお披露目時には好評だったそうですが、WAZAGUでも入口近くで実演されていると多くの人が足を止め、隄さんの説明を聞きながら作業を見ています。
専用の刷毛は鹿の毛が使われているそうです。その他、竹でできた道具などもあり専門の職人さんが作っているそうです。
今回もう一つの目玉は引染と「シケ引き」という二つの技法を組み合わせた「ミーヴチェック」です。シケ引きも京友禅の技法で、専用の幅広の刷毛で染めます。シケとは繭の外皮から引きだした細い糸を意味します。それほど細い線の模様を染められるということから名づけられました。引染のグラデーションの中にチェック模様が浮かび上がるなんとも粋なショールです。
ミーヴ染工房 引染の手仕事展は4月13日(月)まで(10時~18時。最終日は15時まで)。引染の実演・ワークショップは期間中毎日午後から行っています。